#11 『友人』
『このピザって食べていいんですか〜?』
ピザ屋で配達バイトを始めて早3ヶ月、耳に懐かしいJKのハツラツとした声を聴きながら帰りの身支度を進める。
『もちろん!"みんな"に食べて欲しいのよ〜ん』
雇われ店長がそう返す。
そこにいたのはJKと店長と私の他に3人の計6人。果たしてその"みんな"に私は入っていたのだろうか、ほんとは口の中が炭火焼きチキテリになってたくせに、普段無口キャラの私がこういう時だけ声を出して、微妙な空気になるのを恐れピザになんて目もくれずに帰宅した私は知るよしもないことだった。
しかしこれは私が踏み出さないのが悪いのか?と問いたい。正直まだ大した関係でもない職場で下っ端の俺が、じゃあいただきますとピザを喰らいに行くのは図々しい行為だと思う。そう言う時はしっかり上司が『獣くんも食べな!』と言うのが当たり前ではないのか。俺は自分が上の立場になるとそうしてきた。(なるべく)
私の人間関係の構築が下手なのだろうか、周りからの見られ方を気にしている私は大損している気になる。
バイト先で友人ができない。
このバイトを始めて早3ヶ月、長くてもあと半年弱。もう終わりだよこの大学生活。
バイト先には恵まれない人生だった....
と、終わりたいところなのだが、これはもはやバイト先に恵まれてないわけではなく俺がいけないのではないかと思った。
『この部活は俺には合わない』がもはや口癖に幼なじみがある。俺はそいつがすごく嫌いでもはや連絡も取ってない時間が一生取る気ないのだが、そいつのこの台詞と、部活やめたエピソードを聞くたびに、『そんなに合わない場所ばっかなわけねぇだろ。お前が世界に合ってないこと自覚しろボケ』と内心思っていたのだが、もはや今の俺はほぼその状態なんじゃないかと感じた。
うーん。俺もやはり不適合者なのか。そうは思いたくないし違うと思うのだが不安になる。図々しさと言うものは多少なら必要なのだろうか...
#10 『真佑』
今日は真佑と遊んできました。
以上
#9 『水映』
濁りなき水映の瞳にうつりしは過去の田舎(まち)より現在(いま)の都会(まち)かな
水に映ると書いて"みなも"。美しく、それは全てを映し出す。夏の終わり、冷たく燃える大学最後の恋心までも。
どーも。自慰君道師範代獣です。
いやぁ、決めちゃいました。やりすぎて、共感性羞恥でも感じてもらえたかな?
特に深い意味はないんですけどね。
水っていいですよね。昼は自分を、夜は光を映し出す。常に何かを映すものなんですよ。
水って、その環境で全てが変わるんですよね。綺麗にもなるし汚くもなる。映すものだってそう。汚い場所なら汚いものを、綺麗な場所なら綺麗なものを。常にありのまま映してくれる。
ならば、水に映る自分はせめて、綺麗でいようって思ったのです。
白ワイシャツ(ぴちめ)でしっかり決めていきたいと思います。
それではごきげんよう。
#8 『派遣』
【今日の一句】
自らが体験した事象の中で、はっきりと覚えていられるものは、体験してから24時間以内のものである。人の身体の細胞はその9割が24時間以内に死に24時間のうちに生まれ変わる。
人の精神は日に生き、人の身体もまたその日のみを生きている。本来人の寿命というものは1日限りなのである。
次回予告するのやめました。次回予告に縛られて更新できなくなるからです。上の句に書いたように、人はその日しか生きられません。なのでその日思い、感じたことを書き記すためにも次回予告はやめようかなと思います。なんかサザエさんの次回予告みたいな感じで音声的に感じてもらえたら面白いかなと思ったんですけどね...😓
まぁその代わりと言ったらなんですが冒頭に句を読んでいきたいと思います。ハイ。それでは本編どうぞ。
『派遣』
予定も何も書いてない空白のカレンダーとにらめっこ。バイト先に提出するシフトを慎重に決めていく。予定があるわけではない、しかし毎日朝から晩まで入れるかと言われたら答えは無理だ。
何故かって?その日を自由に生きるためだ。
そう。私は派遣バイト。つまり日雇いのバイトに魅入られている。その日雇いが来そうな日を見極め、慎重にシフトを入れていく。土日はイベントがありそうだからパス。日中は案件ありそうだからパス。この日は午前中に歯医者に行かなきゃいけないからどーせ派遣に行けないためOK。21時からならギリギリOK。せいぜいその程度の判断材料ではあるが、あくまで派遣を優先しシフトを記入する。
何より第一、固定のバイトをすることのメリットがあるのかどうか。何故か派遣は通常のバイトに対し見下される傾向にある。そこで、自分の足で大学生100人に調査し(大嘘)、バイトに求める条件を上げてもらったので。その条件のうち、上位5項目で派遣vs通常の固定バイトで戦わせてみた。
バイトに求める条件ベスト5 (獣調べ)
第1位 給与
第2位 業務(仕事の楽さ、楽しさ)
第3位 人間関係(読み:ひとづきあい)・雰囲気・出会いなど
第4位 シフトの融通
第5位 サービス(賄いなど)
では第5位から戦わせてみよう。
第一戦【サービス】
×派遣ー固定○(14-20)
僕は八百長はしない。正直この勝負は固定バイトの方に分があると考える。
派遣バイトはサービスというものはほぼ存在しない。そもそも飲食店の派遣などほぼ存在しないために賄いという概念自体存在しない。交通費も全額でない現場が大半である。一人暮らしの大学生などは食費節約などのために意外と賄いなどのサービスを重視している人が多い印象である。しかし、もしも"食費"という"お金"にのみ注目しているのであれば、それは杞憂だ。その点は給与の勝負で明らかになるだろう。はい次
第2戦【シフトの融通】
◎派遣ー固定×× (90-0)
いうまでもない。派遣なんて前日に決めることだって可能だ。『うわぁ、狙ってたネズミ講の女の子に明日の映画予定ドタキャンされたー!』みたいな時がよくあると思うが、そのようにいきなり1日空いたとしても案件さえ有ればすぐに予定を埋めることができる。こんなことシフト提出をしなければいけない固定バイトでは無理だろう。固定バイト界隈では、『来週1週間のシフト提出でOK!』みたいな条件があればかなりの好条件。基本は2週間先など、1ヶ月先だって珍しくない。
正直遊びの予定は突然入ったりするものだ。それなのに1ヶ月前に適当に決めたただのアルバイトの予定にあそびを一つ潰されてたまりますか?
たまりません。
シフトを削ることだって固定では難儀する。代わりを見つけろだの、連絡しないといけないだの。また代われたとしても。その人の他の勤務日を埋めなきゃいけないなどがある。
しかし派遣はどうだ?体調が悪いのメール一本で余裕で休めるだろうが。なんなら出発連絡などを入れなければむしろ向こうからキャンセルさせるようにしむくことだってできる。
融通戦は単なるワンサイドゲームでした。はい
第3戦【人間関係(ひとづきあい)』
○派遣ー固定× (28-0)
はい、GLAY式人間関係の読み方の第3戦。こちらはかなり混戦となった。結果を見れば28対0ではあるが、固定が上回りそうな面もあった。それではいくつかの小項目に分けて考えてみる。
①上司
これに関しては派遣の勝利。上司との関係というのは正直求めてるものじゃない。バイト先で仲良くなるという可能性もあるが、それ以上にだるい社員やだるい上司。上司というものは頼るもの以上に憂うものである。そのため上司との関係性が希薄になる派遣に軍配が上がる。
②出会い
昨日の派遣に入るまでは流石に固定の方だと思っていた。しかし昨日全てが変わった。
派遣バイトというものは基本的に他の人間との関係性が希薄になりがちだ。そのため人を深く知ることなどは難しいため出会いなどはあっても発展はもちろんしにくい。固定バイトではシフトが被ることで同じ人と過ごす時間は長くなり、バイト先で彼氏・彼女を作ったなどという話はよく聞く。
しかし、派遣には運命を感じざるを得ない。その日限りの出会い。その日限りの関係。それにはやはり運命的な何かが働いている。そのためもしもそこから勇気の一歩を踏み出すことができたのならば、それは熱く一瞬にして燃え上がるだろう。
そう考えるとバイト先での恋愛なんてなんか妥協に思えてきた。
ということでなり派遣の勝ち。
③友人
まぁバイト先で友人を作るという行為自体バイトの辛さ、だるさからの逃げ道なので土俵が違う感は否めない。何故なら派遣は辛くないから。人とのおしゃべりに逃げる必要がないから。まぁでも友人というものは人生においては財産である。たしかにそれを作りやすいのはやはり何度も顔を合わせることのある固定だろう。しかし出会いにも言えることだが、恋愛問題や友人関係というものはいつ何時も悩みの種になるものである。特にフリーターよ。聞け。お前らのバイト先での絆というのはただの足の引っ張りあいだ。学生ならまだいいとしてフリーター。30近くしてバイト先で友人を作る行為は愚行であり恥行以外の何者でもないことを覚えておけ。あれ学生から見たらほんま笑い物やで。ということでなんだかんだ派遣の勝ち。
④雰囲気
言わずもがな派遣。もし自分にコミュ力がなかったらどうする?コミュ力があったとしても、バイト初日に控え室行ったらオタクだらけでウエハース開封で盛り上がる女子と、21歳にしてデブハゲになりポケモンの話や遊戯王の話してる人しかいない職場だったらどうする?渋いだろ!オープンのスタッフになる以外、職場の雰囲気を自分好みに作り上げることは無理だ。コミュ力がない場合など最悪だ。浮きまくる。周りが楽しそうに話してるのを会話だけ聞いて、あっ。ここなら入れるけどいきなりは入れないし...。自分が気を使うだけならまだ良い。周りに気を使われてる雰囲気なんて最悪だ。しかもこっちは誰とも話してないんだからそういう雰囲気なんて秒で察知できる。
それに比べて派遣はそもそもコミュ力低めの人が多いがためにそんなことになりにくい。しかも全員がほぼ初対面。表面上の会話しかしない。表面上の何がいいの?そう思うかもしれないが、それが楽しいねん!あっさーい会話が一番楽しいんや!ということで派遣。
と、まぁこんな具合に派遣と固定では人間関係が希薄か濃いかという両極端であったため書く項目一長一短であったが、よくよく考えるとバイト先で濃い人間関係などいらないという結論に辿り着き。合計すると28(4項目全て獲得)対0で派遣。
第4戦【業務】
◎◎◎◎◎派遣ー固定××××××××××(753315ー0)
派遣315!のうちの一つはこの業務の楽しさ、楽さにある。
まず案件が自分で選べる時点で好きな案件にいける。イベントスタッフなんて最高だ!普通にもはやイベント参加者である。しかも毎回案件はこちらで変えられるため飽きなどもない。何日通しの案件だってかなり長くて2週間。大体が2.3日とかだ。1年も2年も、4年もなんてやってられない。やってられなーい。
そして業務も1日で落とし込めるものが限度、というか大抵の案件が本番がほとんどの時間を占めるので大体1時間に満たない程度のオリエンで落とし込めるような程度の業務しか基本やらない。複雑なわけがない。
そして何より責任がない。何かやらかしてもその反省を演技するのは今日だけで良い。明日や明後日の悩みの種になることなど何一つありはしない。一つ難しいことといえば有能に働きすぎても恥ずかしいし、無能すぎても恥ずかしいということだ。派遣で精を出しまくって、イキリ散らかす人はどう考えても恥ずかしい。しかし派遣程度の業務で無能晒すこともそれ同等の恥ずかしさである。まぁ、無能が恥だと思える正常な感性があればそこまで無能なことにはならないと思うが....
そして派遣でテキパキ動きまくってイキリ散らかす人は、それで優越感に浸ってるだろうからそれはそれでOKだ。
以上の理由より完勝!圧勝!大勝!楽勝!快勝!で派遣の勝ち。
第5戦【給与】
◎◎◎派遣ー固定××××××(途中棄権)
時給1050円。これが派遣の相場である。
じゃあ固定じゃん?
はいばかー。それは派遣に行ったことないやつー。
派遣の時給1050円なんてのは詐欺まがいの騙し文句。ただ、いい方の騙し♫
2ポジ3回し。これが派遣でよく見るパターン。
わからない雑魚のために詳しく解説すると『2ポジションを3人で回す』ということだ。そのため自分は基本的に全時間の2/3のみ働くことになる。大体そうなると60分働いて30分休憩。こんな感じになる。これがまぁ10時間の現場だったらどうなると思う?最初の1時間がオリエンだとして、本番9時間。そのうち実働は2/3つまり6時間。オリエンの1時間なんて控室の説明やちょっと話聞くだけですぐ終わる。つまり時給1050円×10時間の現場なら、実働6時間で1万円以上を手にすることになる。実質時給はいくらだ?...ハイ時間切れ1750円である。昼食の時間なども派遣会社は管理していないし、そんなの当日のクライアントの塩梅なため管理しようがない。そのため拘束時間×時給が満額で発生するため、どの現場でもほぼほぼ1500円は超えてくる。自分はちなみに1ポジ3回しも経験したことがある。そんなの実質時給は3000円じゃぁぁあ!!!
しかもな!これだけじゃないねん。派遣ってのはな、自給案件の他にも日給案件があるんや。しかもなんなら日給案件の方が多いぐらいなんや。そしてなんと早上がりシステムもある。これは大きめのイベントなどではなりにくいが、設営などではかなりなりやすい。日給×設営は狙い目。まず第一クライアントは派遣会社に対して最長の時間で依頼してるんや。(獣調べ)そして派遣会社はそれを短くできるわけないからクライアントが言ってきた時間×大体1000円で日給を設定する。そして大体そういう現場は1時間前に終わったりする。ちな4日前の現場で私は2.5h前上がりした。つまらな。8時間8000円だと思ってたら5.5時間で8000円もらえたということだ。これまた時給は1500円近くに行ってる。
つまり派遣とはそのほぼ全てが時給1500円レベルの最高の仕事なのさ。
そしてもう一つ君たちに考えてほしい。給与は本当に"時給"換算が全てか?ってことを。
僕は"業給"換算している。
この業給換算をしてしまうともはや時給以上に固定バイトは派遣バイトに手も足も出ない。
業給とはつまり給与を業務で割ったもの。つまり見合ってるかどうかだ。第4戦の業務項目でも言及したが業務は全て楽なものばかり、つまり!楽なことして金もらえてるわけですよ。
考えてみろ。辛いこと8時間やってもらう10000円と(時給1250円)と、楽なこと(もはや楽しいこと)10時間やって(実働は6時間程度だけどね♫)もらう10000円。実際どっちがいいか。
11時から19時の8時間でバイト入ったら基本1日は潰れるよ。それなら朝9時から19時でも同じ話しだよね?っていう話。
つまり給与の面ではどう足掻いても固定バイトは叶わないということさ。
ということで圧勝中の圧勝によりこれまた派遣の勝利です。
いかがだったでしょうか派遣バイトVS固定バイトの5番勝負。4-1。まぁサービスも給与で上乗せしたら実質5-0のストレートでの派遣の勝ちという一方的なワンサイドゲームになりました。
これでもまだあなたは1ヶ月後のシフトを提出しますか?
私は明日メールで案件選びまぁぁーーーす!!!
それではごきげんよーーーーー!!!
#7 『敗恋ノ終 -速度-』
『足の速い男がモテるのは小学生まで』よく言われるがこれは敗者の言い訳でしかない。女というものは本能的に速さを求めている。産まれ落ちてから死に朽ちるまで、女の目には一定以下の速度の男は映ることすらできないのである。
ーー獣 亮ーー
はいはあぁぁーーい!今夜もあなたをチェックメイト!っていうことではじまりした!自慰君道!今回は余裕の失恋をかました獣先生に、Q&A方式で今回の敗恋、そして恋愛について聞いていきたいと思います!それではどうぞ!
『敗恋ノ終 -速度-』
Q1.今回の敗恋お疲れ様でした。ズバリ1番の敗因はなんだと思いますか?
A お疲れ様です。えー、やはりまぁ現実で対面したことがないというのが大きいですかね。リアリティが湧かなかったんでしょうね。こっちはインスタ見まくったりイマジネーション膨らませまくってたんすけどね。
Q.2 やはりリアリティは大事ですか?
A 当たり前やろ!(机を叩く) リアリティがほぼ全てやろ。まぁこのリアリティが、俺らみたいな恋愛経験少ない奴らは一番まずいとこやねんな
Q.3 というと?
A あー、あの俺らはその子のことインスタだけで好きになれるわけやな。つまりインスタ見まくったら想像したりでもう付き合ったり挿入の場面までのはっきりしたビジョンが頭の中にあんねん。けどな、向こうにはそれが全くない。正直顔もほぼわからんのやろうな。そこに乖離が生まれてる。それがあかんねん。2人のイメージの差を理解してないと勝負どころを見誤るねん。
Q.4 それではどうすればいいんですか?
A わからんねん。
Q.5 なるほど。それでは次の質問です。今回インスタによるDMを初めてどのくらいから鼠さんのことを好きかな?と意識し始めましたか?
A 最初にコメント?が来た時には正直好きだな。付き合いたいな。って思ってたな。
この子と同じ授業取ってたのが1年の頃でその時から惚れてた。だからインスタのフォローも送ったし、だからまぁそれから2年後ではあったけどすぐにその時の好きって気持ち蘇ったね。俺燃えやすいねん。
Q.6 では最初っから恋愛系の話にもってこうと思ってた?
A 当たり前。女性と男性が盛り上がる共通の話題なんてないもんな。トークするのはもう遊びに行くためだけみたいなとこあるね。まぁ、8ヶ月かかっても無理だったけどな。
Q.7 恋愛の話はした?
A 一切してないね。彼氏がいるかどうかも知らない。てか関係ないんよね。俺に取って向こうに彼氏がいるかどうかなんて。世界人口70億の時代だからね。お互い世界に1人しかいないベストパートナー見つけられてる可能性なんてほぼ0パーなんや。だから別に相手に彼氏がいるかどうかなんて関係ないねん。
Q.8 うーん。ちょっといまいちよくわからないんですが...
A 甘いね。
Q.9 なるほど。それではやはり今回の恋の反省を一言でまとめるとしたら?
A SNSだけじゃ渋い。
Q.10 それは私も思いましたけど、会おうとはしてたんですよね?それで会えなかったならかなりきついですよね?
A せやな。だから負け..たんや(目元を拭う)
Q.11 コロナがなかったらもう少し違う展開になっていた?
A いや、そんなたらればしてもしゃーないな。コロナが俺ら2人をインスタという場で引き合わせたのかも知らんしな。だけどまぁもしコロナがなくて普通に大学行ってたら鼠以外の新しいチャンスってものはあったかも知れんな。
Q.12 そしたらものにする自信はあった?
A ないですね。
Q.13 弱気じゃないですか。それはなぜ?
A やっぱりスピード。『速度』が足りないな。俺には。これ自己分析ね。ズズッ(手元のアイスティーを一口飲む)
Q.14 『速度』ですか?
A あぁ、『足の速い男がモテるのは小学生まで』とかよく言うやん?あれ嘘やねん。あんなの言ってるのはいまだに恋愛を知らないガキか。自分が遅いことに気づいてない敗者だけ。女っちゅうのは本能的に速さを求めてるんよ。女にとって一定以下の速度の男は眼中にもないんよ。
Q.15 やはり桐生祥秀?
A お前アホか。んなわけないやろ。あんなんがモテてたら も終こ国 や!足の速さとは言ってない。とにかく速度やねん。話しかける速度。恋愛モードに移行する速度。とにかく恋愛はスピード勝負。
Q.16なるほど。大変ですね。
A.ほんとにわかってるか?この大変さの真髄を。速度ってのは何も表面的な現在の速度の話だけちゃうぞ?経験する速さってのもあんねん。こっちはもうどうしようもない。恋愛を経験する速さ。女を知る速さ。これら全ての経験的速度。これも重要や。と言うかこれが速いと(早いと)、今を速く生きられんねん。
Q.17 確かに!それはわかるかも知れません。中学の時とかの恋愛って結局キスとかセックスもないプラトニックなものが多いかも知れませんけど、結局そう言うの経験してた人たちが高校とか大学で何人も彼女できたら別れたりしてるってことありますもんね。
A せや。正直中学時代とかって多分本当の恋愛感情なんてないんやろうな。大人の真似事して背伸びしたいだけやねん。けど、それをしたかしてないかでその後の人生大きく変わるんや。おままごとでもいい、『やり方』を知ってるか知ってないかで、本物の恋の手順ってのもわかるやろ?その手順がわかるなら高校・大学で本当の恋に直面した時に実践できんねん。
Q.18 おままごとを通ってないと、それが...できない??
A せや、わかってきたやんけ!何事も速い(早い)に越したことない。この恋愛初体験が遅いとマジでいざ好きな人ができて彼女にしたいと思っても、どうすればいいかわからんのよ。そう言う経験ない?あるやろ?どこまで踏み込んでいいのかわからないみたいな?
Q.19 ありませんね。僕童貞捨てたの14歳なんで。
A なるほど。ゴクッ。(アイスティーを飲み干す)じゃあ周りに結構イケメンなのに20超えて彼女できたことない人、童貞な人とかいませんか?
Q.20 うーん。そうだな、俺そーゆーやつとあんまツルんでないっすからね。まぁでも思い返すと大学の学部とかには結構そう言う奴いるっすね。俺よりイケメンなのに...みたいな奴。
A そうなんですよね!そこなんですよ。正直中学高校を部活に捧げたりして恋愛してこないと、少しイケメンなぐらいだと取り残されるんすよ。女の人から攻めるってことはやっぱりあんまりないですからね。クソイケメンなら話は別かもですけど、ちょっとイケメンぐらいだと待ってたら女性は逃げてしまう。
あっ、攻めないって言っても乳首は別ですよ。女性も攻めます!なんつって...
Q.21 ....。なるほど。じゃあ獣さんは中学高校時代に恋愛をしてなかったと言うことですか?
A いやてか、大学でもしてないですね。(冷や汗を拭く)
Q.22 なるほど。じゃあお前はそれで速度がないから無理だってことか。
A そう言うことなんですよね。結局素人レベルだとかっこいいかっこよくない関係なくとにかく速度勝負になるんですよ。結局早く経験してたやつは、今でも速く勝負に出られる。女の人はすぐに切り替えられますから、速い人にしか食いつかないんですよね。
Q.23 なるほど。では人生的にそうやって出遅れた人はどうすればいいと思うの?無理やり速度を上げる?
A それがまた難しい質問で、車やバイクのギアみたいなもんですよね。中学で恋愛してきたやつは中学、高校大学と徐々にギアを上げて今6速で走れてる状況。我々みたいに経験がなかったり浅かったりすると大学から走ろうとしてもやはり1速、せいぜい2速程度なんすよね。それで高速乗れますか?100キロ乗せられますか?エンストっすよね。
Q.24 意外とわかりやすい例えっすね。
A そう。俺も今から答えながら(書きながら)思いました。そしてなんとイケテルか、イケテないかは排気量のことだね。イケてるやつらは大型で俺らは原付よ!そもそも最高速も違う!
Q.25 悲しいね。そこまで諦めなくてもいいと思うけどね。
A そこやねん!そこもやねん!経験浅いとどんどんネガティブになって。どんどん自らアクセル回さなくなんねん。エンストビビって。それで俺も二輪の免許試験一回落ちたわ...って何言わすねん!
Q.26 まぁでもそのギアの話で行くと低速のままだときついね。なんとか大学からでも上がれるだけギアは上げるべきなんじゃないんすか?
A そう。それがやっぱり経験だよね。マッチングアプリをやったら女友達を作ったり。そう言うことをした方が絶対ギアを上げていける。意味あることなんだよね。
Q.27やっぱりそう言うことですかじゃあズバリ女友達とかどうやって作っていくのがいいと思います?
A それがわからんねん。
Q.28 なるほど。ありがとうございました。
A ありがとうございました。
23時を前にごきげんよう。
#6 『敗恋ノ三 -敗恋-』
恋とは常に盲目的で刹那的。それを失うということは、光を得るということで、時間を得るということでーー。本来失恋とは祝福されるべき事なのである。
ーー獣 亮ーー
ついに決着。獣vs鼠
敗恋シリーズ堂々の完結です。
それではどうぞ
『敗恋ノ三 -敗恋-』
あー、暇だ。今の自分が、持っているものと持っていないもの。就活を終えた獣は就活仕込みの自己分析をする。
時間はある。 金はない。
やりたいことはある。予定はない。
趣味はある。やっぱり金はない。
うーむ。なんとも寂しい。就活も終え、時間はできたもののコロナ禍+金欠の最強タッグにより世田谷区の自宅がまるで絶海のアルカトラズである。
暇を有意義な時間へと変える為には対価が必要である。が、その金がない。シコるかSNSかしかない。あまりにも悲しい大学4年人生最後の夏休み。
さて、どうしたものか。コンビニ帰りの夜。整備された小川のコンクリート部分を走り闇へと消えていった鼠を見かけ俺は思う。俺は鼠だ...世の中を汚い方へ、暗い方へと生きていくしかない...こんな自分になにが...ん?鼠?鼠⁉︎
脳天に稲妻が落ちるとはまさにこのことだった。
時間を持て余し、趣味に費やす金もない俺に残された 最後の希望(ラストリゾート)
!!!!!!!!!!彼女!!!!!!!!!!
『まだ終わりじゃない....俺にはネズミがいる』
毎日通る冷たいコンビニからの帰路も今日は暖かい。コロナ禍、手も洗わずに自分の部屋へ、スマホのスイッチを入れインスタを起動、DM画面で鼠を出す。
あまりにも渋いので敗恋ノ二では触れなかったが、俺は6月頭に遊ぼうともう一度誘い、1ヶ月の既読無視を決め込まれた挙句『ごめん!完全に返したつもりだった。6月終わっちゃった』と返信された。しかし獣はポジティブシンキングを会得している為、既読無視に対して言及しなかった俺に対しわざわざ謝りの連絡を入れたということは本当に返した気になっていただけで、俺に好意を持っているということなのか?と考えた。そして、『7月ももし空いてる日あるなら遊ばない?』的な文章を送り、それに対し2週間後に『そだね!』と一言。悔しくてせめてもの抵抗で既読無視したのが1ヶ月前の話だ。
俺はもう止まらねぇ。
『鼠さん!8月の12日か16日空いてない?俺るろうに剣心の映画まだ見てないんだけど(大大嘘)どうしても見たくて!』
あまりにもるろ剣で攻めすぎてることに若干の恥じらいは感じつつも俺はもう止まることはできなかった。送信したのは8月3日のことだった。
返信が遅い鼠でも、最初の提案の12日まで1週間以上。16日までは、2週間ある。なんらかの返信は来るはず、そして仮に断られても出方次第では次の誘いや次のトークを再開することができる。正直隙のない盤石なメッセージだった。。はずだった。
来たる12日。返信は来なかった。
ちっ、まだネズミ講か!
そして 運命の日(ジャッジメントデイ) 2021年8月16日(月曜日)を迎えた。
返信は来なかったのだ。
こうして2020年11月から半年以上を費やした1つの恋に幕が降りた。
その返信は8月20日現在、未だに来ていない....
獣は今日も1人枕を濡らす。君との映画館からの帰り道のトークテーマを考えながら...
[次回予告]
『いやぁ、見事な敗れっぷりでしたね!獣さん!』
『誰だ君は!』
『そんなことは置いといて、今回の失恋から何か得られたことはありましたか?』
『そうだなぁ....恋愛とはやはり..
次回!アメフトで置き換えると41-0ぐらいの完璧な失恋をかました獣選手に、恋愛とは何たるものなのかを聞いていきたいと思います!
次回 『敗恋ノ終 -速度-』お楽しみに!
『あれ、、、?失敗した人の経験談なんて聞いてもなんの役にも立たないんじゃ.......いでぇ!なんでもないですぅ..ズズズ』
失恋して強くなれ!ごきげんよう
#5 『敗恋ノ二 -鼠女-』
恋とは常に想定外。人は正体不明のものにしか興味を持つことができない。
ーー獣 亮ーー
ついに意を決してdmの相手を映画に誘ってみた獣。どうなる?
#4『敗恋の1 -発端-』を読んでない人はそちらからお願いします。第二話、必ずチェックメイトする。
『敗恋の2 -鼠女-』
俺は言った。下心を感じさせず、本当に俺の興味ありそうでかつ相手も見たそうな映画
『るろうに剣心とかどうかな?』
『るろうに剣心かー、私も見たい!けど前のやつ見てないんだよね!』
軽くいなされた。恋愛経験がない獣にとってここで押す選択肢はない。優しさという名のサレンダーの一本道である。『そかそかー、それはしょうがない笑 見た方がいいよ!』
そんなに上手くはいかない。しかし、ひょんなことから始まった就活の話から局面は新たな展開を迎える。
『獣君、〇〇(就活エージェントサービス)って知ってる?』
就活エージェントサービスとは、就活生の面接、ES対策や、企業研究などを手伝ってくれるサービスのことである。
『いや、知らないなー、あんまりそういうの使ってないんだよね』
この話が始まると、それまで週一ぐらいだった彼女の返信ペースが24時間を切るようになってきた。
ん?自分で言うのもなんだが獣、自慰君道を修めているだけあり警戒心は強く勘も鈍くはない。
正直就活エージェントにいいイメージを持ってる大学生は多くはないだろう。そのどれもが情報弱者の就活生を集め、あたかも意識の高い集団かのように見せかけて内定が簡単に出るブラックまがいの企業を推薦し、そこへの内定獲得率を看板に書くような連中。それが大体の大学生からのエージェントのイメージだろう。
『私、〇〇ってとこに教えてもらった企業に就職決まった!』『そこでやってくれる就活相談とか受けてみれば?』『私は社会人になるための講習受けてるけど、本当にためになる!』『正しい生き方みたいなの学べてる気がする!』『2年目で年収500万はやばくない?』
畳みかけられる言葉を前に私はドラマ、池袋ウエストゲートパークで主人公マコトの母親が人の良さを利用されネズミ講団体にハメられた回を思い出していた。
そしてついに決定的な言葉が出た。
『獣君も一緒にどう?獣君が一緒なら楽しそうだな!』
[就活が終わっていない]当時の私のこの状況が、私に呼吸をする"間"をくれた。
スマホは便利だ、彼女が言っていたエージェントの会社をGoogleに入れる。すると、、、
『〇〇 宗教』『〇〇 辞めたい』 『〇〇 マルチ』
予想通りであったが、いざ直面するとここまで頭の弱い女がいるのかという残念な気持ちが正直な感情だった。
思考が加速する。せっかくここまで来た。返信の頻度ももはや1時間を切ることも多い。獣君と一緒なら楽しそう。そこまで言ってくれている。確かにマルチであることはほぼ確。だがそれを俺が自覚してるなら大丈夫では?この話に乗れば一緒にご飯や遊んだりは余裕なのでは?
この1時間で彼女とのSNSでのラリーは往復3回ぐらいまでの高頻度になっていた。そのためいきなり時間を置くことが不自然だと感じ、20分と言うスピードで私は返信した。
『いやぁ、ごめん!すごいタメになりそうなんだけど俺まだ就活終わってなくて終わっても時間取れなそうだから今回は見送らせてもらう!せっかく誘ってくれたのにごめんね!』
『全然いいよ!』2秒で打てるこの返信が来たのは5日後のことだった。
終わった....これは決して振られたわけではない。しかし、相手が悪かった...流石にネズミ講どっぷり女はいくら顔が可愛くて華奢な色白薄顔でも渋さがある。
私は恋という夢から就活という現に自分の身を戻すことにした。
そしてこの恋に完全な決着がつくのは、就活も終わり、暑さと暇に耐えることで精一杯になった夏のことだった。
[次回予告]
2ヶ月もの時間が空いた。半年弱で急接近した2人にとって、2ヶ月の空白というのはあまりに大きく...
『決着をつけよう....鼠』
獣が最後の誘いをかけた日付は8/12と8/16日の2日。タイムリミットは10日!10日以内に返信は来るのか?そして、その返信の内容とは?
次回、甘く切ない2人のSNSラブ巨篇ついに完結!『敗恋ノ三 -敗恋-』ご期待ください。
次回の更新までご機嫌よう。