#11 『友人』

『このピザって食べていいんですか〜?』

ピザ屋で配達バイトを始めて早3ヶ月、耳に懐かしいJKのハツラツとした声を聴きながら帰りの身支度を進める。

『もちろん!"みんな"に食べて欲しいのよ〜ん』

雇われ店長がそう返す。

そこにいたのはJKと店長と私の他に3人の計6人。果たしてその"みんな"に私は入っていたのだろうか、ほんとは口の中が炭火焼きチキテリになってたくせに、普段無口キャラの私がこういう時だけ声を出して、微妙な空気になるのを恐れピザになんて目もくれずに帰宅した私は知るよしもないことだった。

 

しかしこれは私が踏み出さないのが悪いのか?と問いたい。正直まだ大した関係でもない職場で下っ端の俺が、じゃあいただきますとピザを喰らいに行くのは図々しい行為だと思う。そう言う時はしっかり上司が『獣くんも食べな!』と言うのが当たり前ではないのか。俺は自分が上の立場になるとそうしてきた。(なるべく)

私の人間関係の構築が下手なのだろうか、周りからの見られ方を気にしている私は大損している気になる。

バイト先で友人ができない。

このバイトを始めて早3ヶ月、長くてもあと半年弱。もう終わりだよこの大学生活。

 

バイト先には恵まれない人生だった....

 

と、終わりたいところなのだが、これはもはやバイト先に恵まれてないわけではなく俺がいけないのではないかと思った。

 

『この部活は俺には合わない』がもはや口癖に幼なじみがある。俺はそいつがすごく嫌いでもはや連絡も取ってない時間が一生取る気ないのだが、そいつのこの台詞と、部活やめたエピソードを聞くたびに、『そんなに合わない場所ばっかなわけねぇだろ。お前が世界に合ってないこと自覚しろボケ』と内心思っていたのだが、もはや今の俺はほぼその状態なんじゃないかと感じた。

 

うーん。俺もやはり不適合者なのか。そうは思いたくないし違うと思うのだが不安になる。図々しさと言うものは多少なら必要なのだろうか...