#6 『敗恋ノ三 -敗恋-』
恋とは常に盲目的で刹那的。それを失うということは、光を得るということで、時間を得るということでーー。本来失恋とは祝福されるべき事なのである。
ーー獣 亮ーー
ついに決着。獣vs鼠
敗恋シリーズ堂々の完結です。
それではどうぞ
『敗恋ノ三 -敗恋-』
あー、暇だ。今の自分が、持っているものと持っていないもの。就活を終えた獣は就活仕込みの自己分析をする。
時間はある。 金はない。
やりたいことはある。予定はない。
趣味はある。やっぱり金はない。
うーむ。なんとも寂しい。就活も終え、時間はできたもののコロナ禍+金欠の最強タッグにより世田谷区の自宅がまるで絶海のアルカトラズである。
暇を有意義な時間へと変える為には対価が必要である。が、その金がない。シコるかSNSかしかない。あまりにも悲しい大学4年人生最後の夏休み。
さて、どうしたものか。コンビニ帰りの夜。整備された小川のコンクリート部分を走り闇へと消えていった鼠を見かけ俺は思う。俺は鼠だ...世の中を汚い方へ、暗い方へと生きていくしかない...こんな自分になにが...ん?鼠?鼠⁉︎
脳天に稲妻が落ちるとはまさにこのことだった。
時間を持て余し、趣味に費やす金もない俺に残された 最後の希望(ラストリゾート)
!!!!!!!!!!彼女!!!!!!!!!!
『まだ終わりじゃない....俺にはネズミがいる』
毎日通る冷たいコンビニからの帰路も今日は暖かい。コロナ禍、手も洗わずに自分の部屋へ、スマホのスイッチを入れインスタを起動、DM画面で鼠を出す。
あまりにも渋いので敗恋ノ二では触れなかったが、俺は6月頭に遊ぼうともう一度誘い、1ヶ月の既読無視を決め込まれた挙句『ごめん!完全に返したつもりだった。6月終わっちゃった』と返信された。しかし獣はポジティブシンキングを会得している為、既読無視に対して言及しなかった俺に対しわざわざ謝りの連絡を入れたということは本当に返した気になっていただけで、俺に好意を持っているということなのか?と考えた。そして、『7月ももし空いてる日あるなら遊ばない?』的な文章を送り、それに対し2週間後に『そだね!』と一言。悔しくてせめてもの抵抗で既読無視したのが1ヶ月前の話だ。
俺はもう止まらねぇ。
『鼠さん!8月の12日か16日空いてない?俺るろうに剣心の映画まだ見てないんだけど(大大嘘)どうしても見たくて!』
あまりにもるろ剣で攻めすぎてることに若干の恥じらいは感じつつも俺はもう止まることはできなかった。送信したのは8月3日のことだった。
返信が遅い鼠でも、最初の提案の12日まで1週間以上。16日までは、2週間ある。なんらかの返信は来るはず、そして仮に断られても出方次第では次の誘いや次のトークを再開することができる。正直隙のない盤石なメッセージだった。。はずだった。
来たる12日。返信は来なかった。
ちっ、まだネズミ講か!
そして 運命の日(ジャッジメントデイ) 2021年8月16日(月曜日)を迎えた。
返信は来なかったのだ。
こうして2020年11月から半年以上を費やした1つの恋に幕が降りた。
その返信は8月20日現在、未だに来ていない....
獣は今日も1人枕を濡らす。君との映画館からの帰り道のトークテーマを考えながら...
[次回予告]
『いやぁ、見事な敗れっぷりでしたね!獣さん!』
『誰だ君は!』
『そんなことは置いといて、今回の失恋から何か得られたことはありましたか?』
『そうだなぁ....恋愛とはやはり..
次回!アメフトで置き換えると41-0ぐらいの完璧な失恋をかました獣選手に、恋愛とは何たるものなのかを聞いていきたいと思います!
次回 『敗恋ノ終 -速度-』お楽しみに!
『あれ、、、?失敗した人の経験談なんて聞いてもなんの役にも立たないんじゃ.......いでぇ!なんでもないですぅ..ズズズ』
失恋して強くなれ!ごきげんよう